どのような形で園芸療法の知識や技術を生かしていこうと考えるのか、それによって学ぶ内容が異なります。 「園芸療法を学ぶ方法」の頁を参照下さい。 1.全国大学実務教育協会(http://www.jaucb.gr.jp/license/21.html)加盟の大学では、下記の勉強をします。必修と選択をあわせて24単位(=288時間)以上の受講が義務づけられています。 1..必修科目(4科目 8単位 1単位は通常15時間)
2.選択科目(8科目 16単位以上)
2.淡路景観植物学校(http://www.awaji.ac.jp/)では、さらに長時間の多岐にわたる授業と、1000時間の実習が課せられます。たとえば、園芸学の基礎では「日本・兵庫の園芸、分類、繁殖、開花調整など」を、医学一般では「医学概論、解剖、生理、病理、薬理、介護、老年医学、精神医学」を、医療関連持論では「救急救命法、補完代替医療法」などを学びます。 このような大学、各種学校の講座に比べると、実践者の育成に努めている団体の講座内容は大分異なります。 3.日本園芸療法普及協会(http://members.jcom.home.ne.jp/ht-society/)の、20時間の基礎講座の内容は以下の通りです。
たとえば植物と栽培については、大学では、園芸論(講義)、ガーデニング(演習)に各2単位合計約60時間かけて学ぶのに対し、協会では「第6回園芸療法で採用される植物」、「第8回栽培の基礎」の合計4時間しか時間をとっていません。そして、これで十分だとしています。なぜでしょうか。 「水やり10年」という言葉があります。盆栽を上手に育てるためには、水やりひとつにしても10年の経験が必要だということです。野菜、果物、野草、樹木、花類、室内園芸植物など、年間を通じてガーデンセンターに並ぶ植物の種類はそれこそ数千種類になるかもしれません。それらの育て方や特性をマスターするには何時間の勉強したら良いのでしょうか? 一生掛けても無理に違いありません。 園芸療法の講座でトマトの育て方やチューリップ球根の植え方を学ぶ必要はありません。それを教えてくれる園芸図書はいくらでも入手できますし、ネットでの情報収集も容易です。園芸療法の立場から、どのように植物を選び扱うか、どのように栽培情報を得て整理するかということが判れば、あとは自分で学ぶことができます。正しい水やりの方法を知ることはもちろん大切ですが、「スタッフ不足で日常の水やりがうまく行われない施設で枯れないように育てるにはどのような工夫が必要か」、「真夏の栽培プログラムをどう組むか」といった、園芸図書には書かれていないことを講座で知ることが重要でしょう。 医療福祉関連の必要知識についても同様です。「生兵法は大怪我のもと」という言葉があります。協会認定施設でのリーダーやボランティアは決して車椅子には手を触れません。必要な場合は施設スタッフを呼びます。講座で車椅子の扱い方を学ぶよりも、園芸療法実践者と施設スタッフとの役割分担、施設スタッフとどのように良い関係を持つか、リスクの回避、入所者の家族に対するアピール方法といった実際的な事項を知ることが大切だという観点です。
協会認定施設の園芸療法リーダーは、毎回の活動内容を文章と写真で協会に報告します。協会はそれをまとめて、毎週水曜日にリーダーに送信します。リーダーは、各施設でのプログラム内容、活動時の反省点を参考にして活動内容のレベルアップに努めています。 したがって、認定施設のリーダーとして活動するためには、ワードで文書を作成してそれを送信できること、デジカメ写真の加工・送信ができることなどが条件づけられます。
リーダーが活動を通じて切磋琢磨することで、2年以上の経験を経ると本当の意味で実力(実践力)のある園芸療法士に育ちます。 |